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アミオダロンによる急性閉塞性胆管炎

2014年12月掲載

薬剤 アミオダロン循環器官用剤
副作用 急性閉塞性胆管炎
概要 70歳代、男性。慢性心不全の急性増悪にて入院中、上腹部痛、悪寒戦慄および38.5℃の発熱、肝胆道系酵素および炎症反応の上昇を認めた。腹部単純CTを施行したところ、肝外胆管の拡張、胆嚢内と下部胆管に高吸収域を認めたため、閉塞性黄疸、急性胆管炎と診断した。禁食、補液、抗菌薬投与にて経過観察とした。後日、内視鏡的逆行性胆管造影、内視鏡的経鼻胆管ドレナージを施行した。アミオダロンと主な活性代謝物であるデスエチルアミオダロンの胆汁中濃度は高値を示した。施行7日後には高吸収域は消失しており、ヨードを含んだアミオダロンの代謝物は胆管炎を繰り返す原因と考え、内視鏡的乳頭切開術を施行した。アミオダロンの内服は継続し、1年経過しているが、閉塞性黄疸、胆管炎の再発は認められていない。

監修者コメント

アミオダロンは心室細動や心室性頻拍などに使用される抗不整脈薬であり、100mg中37mgのヨードを含んでいる。本症例では、アミオダロン内服中に胆道系酵素および炎症反応の上昇を認め、腹部CTにて胆嚢内と下部胆管に高吸収域を認めたため、急性閉塞性胆管炎と診断された。ヨードを含んだアミオダロンの代謝物が胆管炎の原因と考えられ、内視鏡的乳頭切開術が施行された後は再発を認めていない。アミオダロンの薬剤性肝障害は報告されているが、本症例のような明らかな閉塞性黄疸および急性胆管炎を発症した症例はこれまでに報告がなく、興味深い一例といえる。

著者(発表者)
落合一成ほか
所属施設名
杏林大学医学部第三内科
表題(演題)
急性閉塞性胆管炎の原因がアミオダロンと考えられた1例
雑誌名(学会名)
胆道 28(3) 577 (2014.8)
第50回 日本胆道学会学術集会 (2014.9.26-27)

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