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トラスツズマブによるたこつぼ心筋症

2014年11月掲載

薬剤 トラスツズマブ腫瘍用薬
副作用 たこつぼ心筋症
概要 80歳代、女性。HER2陽性転移乳癌に対してトラスツズマブを投与した後、同剤の投与を中止し、他剤に変更していた。その後、トラスツズマブ再投与の方針となった。トラスツズマブ再投与時、悪寒、頻脈に引き続き、胸痛、ST上昇が出現した。著明な左室駆出率低下を認めたが、冠動脈の有意狭窄はなく、たこつぼ心筋症の診断であった。心機能の回復は速やかで、インフュージョンリアクションを引き金として心筋症を発症したと考えられた。

監修者コメント

抗HER2モノクローナル抗体であるトラスツズマブ(ハーセプチン®)はHER2が過剰発現している乳癌や胃癌の治療薬として使用されている。本症例ではHER2陽性転移性乳癌に対してトラスツズマブを一度中断の後に再投与したところ、インフュージョンリアクションを認め、それを契機にたこつぼ心筋症を発症した。トラスツズマブ投与による心機能低下はよく知られているが、たこつぼ心筋症の報告は稀である。本症例のようにトラスツズマブ休薬後の再投与時にはインフュージョンリアクションに対する注意が必要である。

著者(発表者)
宮里恵子ほか
所属施設名
浦添総合病院乳腺センター
表題(演題)
トラスツズマブ再投与時、インフュージョンリアクション後にたこつぼ心筋症を発症したHER2陽性進行乳癌の1例
雑誌名(学会名)
臨床外科 69(9) 1136-1139 (2014.9)

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