クロピドグレルによる後天性血友病
2014年11月掲載
薬剤 | クロピドグレル血液・体液用薬 |
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副作用 | 後天性血友病A |
概要 | 90歳、男性。脳梗塞後遺症、脳血管性認知症などにてグループホームに入所中であった。誤嚥性肺炎に対してイミペネム・シラスタチンの筋肉内注射を開始したところ、皮下出血、貧血を認めたため当センターに入院した。入院時、両上腕、背部、左側腹部、臀部などに広範な皮下出血、紫斑を認め、入院9日前12.2g/dLであったヘモグロビンが7.4g/dLまで低下していた。APTT180sec.以上、第VIII因子活性1%未満、第VIII因子インヒビター101BU/mLであることから後天性血友病Aと診断した。入院2ヵ月前よりクロピドグレルを内服していたため、これを中止し、プレドニゾロン内服を開始した。入院後、新規の出血は認めず、9週間で治療を終了した。 |
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抗血小板剤であるクロピドグレル(プラビックス®)は虚血性脳血管障害の再発予防などに用いられている。本症例では、脳梗塞後遺症のためクロピドグレルを内服中に著明な皮下出血・筋肉内出血などをきたし、後天性血友病Aの合併と診断された。後天性血友病Aの発症率は100万人あたり1.48人と報告されており、稀な疾患であるが、近年高齢者の報告例が増加しており、注意が必要である。
- 著者(発表者)
- 渡邉彰ほか
- 所属施設名
- 国立病院機構愛媛医療センター呼吸器内科ほか
- 表題(演題)
- クロピドグレルによる発症が疑われた後天性血友病Aの1例
- 雑誌名(学会名)
- 医療 68(8) 400-404 (2014.8)
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