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エタネルセプトによる食道・腸結核

2014年11月掲載

薬剤 エタネルセプトその他の代謝性医薬品
副作用 食道・腸結核
概要 88歳、女性。関節リウマチと診断され、エタネルセプトが投与されていたが、右胸水貯留にて当科紹介となった。胸部単純CTでは右胸水、縦隔リンパ節の腫脹のほかに中部食道壁の肥厚を認めた。上部消化管内視鏡検査で中部食道に潰瘍性病変があり、Ziehl-Neelsen染色で陽性を示す抗酸菌菌体も数ヵ所で確認した。胃液のPCR法も陽性であったことから食道結核と診断した。下部消化管内視鏡検査でも、回盲部の多発性びらんから生検した結果は食道と同様であり、食道結核と腸結核の合併と診断した。結核化学療法を12ヵ月間施行し、胸水、消化管病変はいずれも軽快した。

監修者コメント

エタネルセプト(エンブレル®)はTNF阻害薬であり、関節リウマチの治療薬として使用されている。本症例では、エタネルセプト投与中の関節リウマチ患者において胸水貯留と食道壁の肥厚を認めたため、精査を行った結果、食道結核および腸結核の合併と診断された。TNF阻害薬が結核発症のリスクを増加させ、特に肺外結核が多く認められることが報告されている。TNF阻害薬による肺外結核の中でも食道結核は稀であり、本症例のように腸結核との合併例は報告が極めて少なく貴重な症例といえる。

著者(発表者)
穴澤梨江ほか
所属施設名
聖隷浜松病院呼吸器内科ほか
表題(演題)
エタネルセプト投与中に発症した食道・腸結核の1例
雑誌名(学会名)
結核 89(8) 711-716 (2014.8)
第120回 日本結核病学会東海地方学会、第102回 日本呼吸器学会東海地方学会 (2012.11)

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