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インフリキシマブによるparadoxical reaction

2014年11月掲載

薬剤 インフリキシマブ消化器官用薬
副作用 paradoxical reaction
概要 58歳、女性。膿疱性乾癬に対してシクロスポリン内服、ステロイド剤、ビタミンD3製剤外用で治療されていた。今回、シクロスポリンからインフリキシマブへの変更を図った。1回目のインフリキシマブ投与を行ったところ、翌日より体幹に紅斑が出現。ステロイドにより3日間で皮疹は改善した。2回目のインフリキシマブ投与を行ったところ、翌日体幹、四肢に紅斑が出現。紅斑部の生検にて、膿疱性乾癬患者に生じたparadoxical reactionと診断した。シクロスポリン内服を再開したが、皮疹拡大傾向のため、増量を行い改善を認めた。

監修者コメント

抗TNFαモノクローナル抗体製剤であるインフリキシマブ(レミケード®)は、関節リウマチや炎症性腸疾患の他、尋常性乾癬や膿疱性乾癬などの治療薬として用いられている。paradoxical reactionとは、本来予想されるはずの作用と逆の反応が生じることである。本症例では、膿疱性乾癬に対してインフリキシマブを投与したところ、逆に乾癬の増悪を認めており、インフリキシマブによるparadoxical reactionが疑われた。TNF阻害薬によるparadoxical reactionは関節リウマチや炎症性腸疾患患者で報告されているが、膿疱性乾癬患者における報告は稀である。膿疱性乾癬患者でも TNF阻害薬によるparadoxical reactionを生じる可能性があることに注意しなければならない。

著者(発表者)
森田玲子ほか
所属施設名
近畿大学医学部皮膚科
表題(演題)
インフリキシマブ投与によりparadoxical reactionを生じた膿疱性乾癬の1例
雑誌名(学会名)
第29回 日本乾癬学会学術大会 プログラム・抄録集 211 (2014)
第29回 日本乾癬学会学術大会 (2014.9.19-20)

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