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アダリムマブによる慢性炎症性脱髄性多発神経炎

2014年11月掲載

薬剤 アダリムマブその他の代謝性医薬品
副作用 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
概要 42歳、男性。尋常性乾癬と診断され、外用療法にて加療されていた。全身に皮疹が拡大し、外用療法に加えシクロスポリンを内服するも、効果に乏しく、当院を受診した。アダリムマブを導入し、皮疹に効果はあったが、治療開始約1年後より右上肢の筋力低下や痺れが生じた。神経内科を受診し、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)と診断され、アダリムマブによる治療を中止した。CIDPに対して免疫グロブリン大量静注療法を施行し、症状は消失し、現在に至るまで再発していない。

監修者コメント

ヒト型抗TNFαモノクローナル抗体製剤であるアダリムマブ(ヒュミラ®)は、関節リウマチ、炎症性腸疾患、乾癬などの治療薬として使用されている。同じくTNF阻害薬でキメラ型モノクローナル抗体であるインフリキシマブに比べ、投与時反応(インフュージョンリアクション)が少ないのが特徴である。本症例では、尋常性乾癬に対してアダリムマブによる治療を開始したところ、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)を発症した。TNF阻害薬は脱髄疾患を新たに発生、あるいは増悪させることが報告されており、TNF阻害薬の投与中に脱髄疾患を疑う症状が出現した際には、速やかに治療を中止する必要がある。

著者(発表者)
中尾桃子ほか
所属施設名
東京大学医学部皮膚科ほか
表題(演題)
アダリムマブによる治療中に慢性炎症性脱髄性多発神経炎を発症した尋常性乾癬の1例
雑誌名(学会名)
第29回 日本乾癬学会学術大会 プログラム・抄録集 224 (2014)
第29回 日本乾癬学会学術大会 (2014.9.19-20)

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