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バルプロ酸によるパーキンソニズム

2014年10月掲載

薬剤 バルプロ酸ナトリウム中枢神経用薬
副作用 パーキンソニズム
概要 63歳、女性。非定型精神病に対してバルプロ酸ナトリウム(VPA)とクエチアピンを主剤に経過していた。すくみ足、姿勢反射障害を認めたため、薬剤性パーキンソニズム( drug-induced parkinsonism:DIP)を疑いビペリデン投与を開始した。ビペリデン内服後、パーキンソニズムは日常生活に支障がないレベルまで軽減していたが、再び躁状態になりVPAを増量したところ、パーキンソニズムが徐々に増悪し、レボドパの投与を開始した。その後、パーキンソニズムが増悪したため、VPAを中止したところ速やかに改善した。しかし、精神病症状が出現し、クエチアピンを増量したが精神症状は改善せず、電気けいれん療法で改善した。

監修者コメント

バルプロ酸は抗てんかん薬・気分安定薬として広く使用されているが、長期服用により薬剤性パーキンソニズム(DIP)を引き起こすことが報告されている。DIPは患者のADLを高度に障害するが、多くの場合は原因薬剤の中止により症状が軽快する。バルプロ酸によるDIPは頻度が少ないため、日常診療においてDIPの原因薬剤として見逃されている可能性がある。特に抗精神病薬との併用例においてDIPを呈した場合はバルプロ酸の可能性も考慮し、減量および中止を検討する必要がある。

著者(発表者)
大野浩太郎ほか
所属施設名
東京医科大学精神医学講座
表題(演題)
バルプロ酸長期服用中にパーキンソニズムを呈した1例
雑誌名(学会名)
精神科 25(1) 103-107 (2014.7)

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