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インフリキシマブによるループス様症候群

2014年10月掲載

薬剤 インフリキシマブ消化器官用薬
副作用 ループス様症候群
概要 34歳、女性。潰瘍性大腸炎に高安病を合併し、プレドニゾロン(PSL)、タクロリムス、アザチオプリンなどにて加療していた。その後、潰瘍性大腸炎が再燃し、PSLを増量したが血性下痢が持続したため、インフリキシマブ(IFX)を開始したところ軽快した。IFX開始10ヵ月後にPSLを漸減すると、顔面(頬部、前額部)等に紅斑が出現し、日光曝露にて増悪した。IFX開始前は陰性だった抗核抗体や抗dsDNA-IgM抗体の陽性化、低補体血症を認めたため、TNF阻害薬誘発ループス様症候群と考えた。IFXをアダリムマブに変更したところ、皮疹は改善し抗DNA抗体も低下した。

監修者コメント

抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤であるインフリキシマブ(IFX、レミケード®)は関節リウマチや炎症性腸疾患の治療薬として広く使用されている。本症例はステロイドや免疫抑制剤抵抗性の潰瘍性大腸炎に対してIFXを導入したところ、TNF阻害薬誘発ループス様症候群を発症した。同じくTNFαモノクローナル抗体製剤であるアダリムマブに変更したところ、皮疹は改善し抗DNA抗体も低下した。IFXはマウス/ヒトのキメラ型モノクローナル抗体であるのに対し、アダリムマブはヒト型モノクローナル抗体である。頻度は少ないものの、TNF阻害薬によるループス様症候群を発症することがある。通常、TNF阻害薬は中止されるが、本症例のように他のTNF阻害薬に変更して副作用が改善されることもあり、個々の症例で慎重に検討する必要がある。

著者(発表者)
野々村美紀ほか
所属施設名
国家公務員共済組合連合会東京共済病院リウマチ膠原病科ほか
表題(演題)
インフリキシマブによりループス様症候群を合併した潰瘍性大腸炎の1例
雑誌名(学会名)
第607回 日本内科学会関東地方会 37 (2014)
第607回 日本内科学会関東地方会 (2014.7.13)

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