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ピルシカイニド塩酸塩水和物によるVT storm

2014年9月掲載

薬剤 ピルシカイニド塩酸塩水和物循環器官用剤
副作用 VT storm
概要 65歳、男性。意識消失し自宅階段から転落し、家族により救急要請。救急車内で無脈性心室頻拍(VT)および心室細動を認め、不整脈原性の意識消失が疑われ当院搬入となった。心電図および心臓超音波所見より急性冠症候群を疑い、経皮的冠動脈インターベンションを施行し血行再建に成功した。しかし、非持続性VTから無脈性VTが頻発し、電気的除細動による停止効果も得られなくなり、循環動態の破綻をきたしたため、経皮的心肺補助装置を留置した。その後、ピルシカイニド塩酸塩水和物の服用が判明し、血中濃度高値が予想されたため、持続的血液濾過透析も開始した。翌日には洞調律となり循環動態も安定した。

監修者コメント

塩酸ピルシカイニド(サンリズム®)は上室性および心室性の頻脈性不整脈の治療薬として使用されているが、重大な副作用として心室頻拍(VT)などを認めることがある。本症例では透析導入中であったにも関わらず、塩酸ピルシカイニドを75mg/日服用しており、搬入時にはその血中濃度は中毒域に達していた。塩酸ピルシカイニド中毒によりVT stormをきたした一例と考えられる。腎機能低下例、特に透析患者においては、塩酸ピルシカイニドの積極的な使用は回避すべきか、使用する場合でも投与量を慎重に設定する必要がある。

著者(発表者)
髙橋雅之ほか
所属施設名
市立札幌病院循環器センター循環器内科
表題(演題)
VT stormをきたした塩酸ピルシカイニド中毒の1例
雑誌名(学会名)
心臓 46(6) 723-733 (2014.6)

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