リツキシマブによるアスペルギルス肺炎
2014年8月掲載
薬剤 | リツキシマブ腫瘍用薬 |
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副作用 | アスペルギルス肺炎 |
概要 | 12歳、男児。ネフローゼに対し、プレドニゾロン(PSL)、シクロスポリン(CsA)、ステロイドパルス療法(MPT)に加え、血漿交換を併用するも寛解しえなかった。また、二度の高血圧脳症も合併し、治療継続が困難なため当院に転院。血液透析とともに薬物療法を継続し、MPT1クール後にリツキシマブを投与した。転院50日頃より無熱性の咳嗽・呼吸苦が出現。β-dグルカンの著増と右肺空洞病変が出現したため、気管支肺胞洗浄を施行し、Aspergillus lentulus感染症が証明された。CsAやPSL投与を速やかに中止し、ボリコナゾールをミカファンギンに変更した。その後、β-dグルカンの低下、胸部画像や臨床症状の改善を認め順調に回復した。 |
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抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブ(RTX)は、主に悪性リンパ腫などの治療に用いられているが、副作用として免疫機能の低下による感染症の重篤化に注意しなければならない。近年、難治性のステロイド抵抗性ネフローゼ症候群(SRNS)に対するRTXの有効性が報告されている。本症例では小児の難治性SRNSに対し、従来の治療後にRTXを追加投与したところ、アスペルギルス肺炎を発症した。RTX投与後の真菌感染症の報告は稀であるが、本症例のようにRTXと免疫抑制剤を併用する際にはアスペルギルスなどの真菌感染症にも注意する必要がある。
- 著者(発表者)
- 町田裕之ほか
- 所属施設名
- 国立成育医療研究センター腎臓・リウマチ・膠原病科ほか
- 表題(演題)
- リツキシマブ投与後にAspergillus感染を合併した難治性ネフローゼ症候群の1例
- 雑誌名(学会名)
- 日本小児腎臓病学会雑誌 27 (増刊1) 174 (2014.4)
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