メトトレキサートによる白質脳症
2014年8月掲載
薬剤 | メトトレキサート腫瘍用薬 |
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副作用 | 白質脳症 |
概要 | 32歳、女性。腸骨骨肉腫と診断し、腫瘍広範切除術を施行し、術後化学療法としてADR+CDDPを1クール施行後にメトトレキサート(MTX)を投与した。Day11から頭痛出現、Day15に呂律困難、上肢随意運動障害が出現した。Day16の頭部MRIでは明らかな異常所見を認めなかった。臨床症状より脳梗塞を疑い、ラジカット、ヘパリンを数日間投与、MTXによる白質脳症の可能性も考え、ネオフィリンを投与したところ、症状改善を認めた。Day28のMRIで白質脳症として矛盾のない所見であった。Day50にてごく軽度の構音障害が残存するものの、症状はほぼ軽快した。 |
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葉酸代謝拮抗剤であるメトトレキサート(MTX)は白血病や骨肉腫などの治療薬として用いられている。MTXは中枢神経組織での髄鞘形成に必要なメチオニンの合成を阻害するため、MTXの大量投与の副作用として白質脳症が知られている。本症例においても、骨盤骨肉腫の術後化学療法にてMTXを静脈内投与したところ、頭痛や随意運動障害などを伴う白質脳症を生じた。 MTXの髄腔内や脳室内投与のみならず、本症例のように静脈注射にても白質脳症を発症することがあるため、投与に際しては注意が必要である。
- 著者(発表者)
- 濱本秀一ほか
- 所属施設名
- 大阪府立成人病センター整形
- 表題(演題)
- 骨盤骨肉腫の術後化学療法にてメソトレキセート静脈内投与による白質脳症を生じた1例
- 雑誌名(学会名)
- 日本整形外科学会雑誌 88(6) S1159 (2014.6)
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