セツキシマブによる腸管嚢腫様気腫症
2014年8月掲載
薬剤 | セツキシマブ腫瘍用薬 |
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副作用 | 腸管嚢腫様気腫症 |
概要 | 63歳、男性。上咽頭癌右鎖骨上リンパ節再発に対し、セツキシマブ+放射線療法を2コース施行した。効果判定にて施行したCT検査にて、フリーエアと小腸の気腫性変化を認めた。腹水は認めず腸管血流が保たれていたこと、腹痛および腹膜刺激症状も認めなかったため、経過観察とした。消化管穿孔を否定するために上部消化管内視鏡検査を行ったが、異常所見は認めなかった。第7病日のCT検査ではフリーエアおよび腸管気腫像の消失を認めた。 |
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抗EGFR抗体製剤であるセツキシマブ(アービタックス®)は、EGFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の大腸癌および頭頸部癌の治療薬として使用されている。本症例では、上咽頭癌右鎖骨上リンパ節再発に対し、セツキシマブ+放射線療法を2コース施行したところ、腹腔内遊離ガス像(フリーエア)を認め、腸管嚢腫様気腫症が疑われた。セツキシマブ投与により正常な腸管粘膜上皮に発現しているEGFRが阻害され、腸管粘膜の脆弱化や透過性亢進などが生じたことが原因として考えられる。
- 著者(発表者)
- 加藤久仁之ほか
- 所属施設名
- 山本組合総合病院外科ほか
- 表題(演題)
- 上咽頭癌に対してセツキシマブ投与中に発症した腸管嚢腫様気腫症の1例
- 雑誌名(学会名)
- 日本臨床外科学会雑誌 75(4) 973-977 (2014.4)
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