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インフリキシマブによる視神経炎

2014年8月掲載

薬剤 インフリキシマブ消化器官用薬
副作用 視神経炎
概要 55歳、男性。関節症性乾癬の関節痛に対して、消炎鎮痛薬内服を継続していたが、両肘関節の可動域制限が出現したため、インフリキシマブ治療を開始した。導入から6ヵ月が経過した5回目投与数週間後、肘をついた時や正座時に手足がしばらく痺れるという訴えがあった。その約1ヵ月後に右眼の視力低下、下1/2の視野欠損を生じ視神経炎と診断された。インフリキシマブの投与を中止し、メチルプレドニゾロンのパルス療法後、プレドニゾロンの内服で加療した。多発性硬化症の合併や発症はなく、パルス療法開始から16日目には内服を中止した。視神経炎発症4ヵ月後には、視力視野ともに元の状態に戻った。

監修者コメント

抗TNF-α抗体製剤であるインフリキシマブ(レミケード®)は関節リウマチ、尋常性乾癬、炎症性腸疾患などの治療薬として使用頻度が増加している。本症例では関節症性乾癬に対してインフリキシマブによる治療を開始したところ、導入後約8ヵ月で右眼の視力低下、視野欠損を生じ、視神経炎と診断された。本薬剤による視神経炎は稀な副作用であるが、近年、皮膚科医も抗TNF-α抗体製剤を使用する機会が増えており、副作用としての視神経炎を含む脱髄性疾患にも注意する必要がある。

著者(発表者)
堀仁子ほか
所属施設名
旭川医科大学医学部皮膚科学教室ほか
表題(演題)
インフリキシマブ治療中に右視神経炎を発症した関節症性乾癬
雑誌名(学会名)
皮膚病診療 36(5) 429-432 (2014.5)

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