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サラゾスルファピリジンによる無顆粒球症

2014年6月掲載

薬剤 サラゾスルファピリジン化学療法剤
副作用 無顆粒球症
概要 52歳、女性。早期関節リウマチ(RA)に対してサラゾスルファピリジン(SASP)の投与を開始した。当初、WBCおよびCRPは軽度上昇しており、RFおよび抗CCP抗体は高値を示していたが、3週間後にはWBC、好中球数およびCRPは正常化し、関節痛も著明に軽快した。SASP開始から7週間後の外来診療でWBCが1,450/µLと低下し、顆粒球数50/µLと著明な低下を認めたため、無顆粒球症の診断で緊急入院となった。同日よりSASPを中止し、G-CSFおよび予防的抗菌剤、抗真菌剤の投与を行った。徐々に好中球数の改善を認め、入院11日目に退院となった。

監修者コメント

サラゾスルファピリジン(SASP)は関節リウマチ(RA)の標準的治療薬として広く使用されているが、さまざまな副作用も報告されている。その中でも無顆粒球症は稀だが重篤な合併症である。本症例では早期RAに対してSASPを投与開始したところ、7週後の経過観察で白血球の減少を認め、無顆粒球症と診断された。SASP投与の中止、G-CSF投与などを行い迅速に対応したため、無症状のまま軽快した。SASP投与時には定期的な血液検査などの経過観察が重要であり、無顆粒球症発症時には迅速な対応と適切な治療を行う必要がある。

著者(発表者)
刀根慎恵ほか
所属施設名
三重大学大学院整形外科ほか
表題(演題)
サラゾスルファピリジン内服開始後に無顆粒球症を呈した関節リウマチの1例
雑誌名(学会名)
整形外科 65(4) 342-345 (2014.4)
第231回 整形外科集談学会東海地方会

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