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レボフロキサシンによる固定薬疹

2014年5月掲載

薬剤 レボフロキサシン化学療法剤
副作用 固定薬疹
概要 37歳、女性。膀胱炎の診断を受け処方されたレボフロキサシン(LVFX)を内服し、右舌背に違和感、疼痛、びらんを認めた。2ヵ月後に他院泌尿器科で膀胱炎の診断を受け、LVFXを内服後に右舌部の違和感、白苔が出現したため、耳鼻科を受診し舌カンジダ症の診断を受け軟膏を処方された。症状が増悪したため当院耳鼻科を受診し、LVFXが原因である可能性を示唆され、内服を中止した。さらに悪化し、上下唇粘膜、舌下部、頬粘膜にまで拡大したため、当科受診となった。LVFXに対する薬剤誘発性リンパ球刺激試験結果は疑陽性であった。LVFXによる固定薬疹と診断し、当科入院、ステロイド投与、点滴による栄養管理により著明に改善した。退院時には薬剤アレルギーカードを交付し、薬剤師から指導を受け、お薬手帳にも記載した。その1年後、歯科診療所にて抜歯術の際にLVFXの後発品を処方され、口腔内発赤、びらんにて受診した。1年前と同様の治療を行い、症状は改善した。退院時には国内で処方しうるLVFXの商品名一覧を手渡し、一層入念に情報提供を行った。

監修者コメント

固定薬疹とは、同一薬剤摂取のたびに同一部位に同様の症状を繰り返す薬疹のことである。レボフロキサシン(クラビット®)による固定薬疹は、背部や上下肢などで報告があるが、本症例のように口腔内に出現することは稀である。また、本症例では異なる病院でのレボフロキサシンの内服により1年間に3回も口腔内に固定薬疹を発症することになってしまった。原因としては、病院間で薬剤の副作用情報の共有化が不十分であった、後発品の商品名が異なっていたことなどが考えられる。再発防止のために今後十分に検討されるべき課題である。

著者(発表者)
松本聖武ほか
所属施設名
市立宇和島病院歯科口腔外科
表題(演題)
レボフロキサシンにより口腔内に限局した多発口内炎を生じた固定薬疹の1例
雑誌名(学会名)
日本口腔外科学会雑誌 60(2) 66-70 (2014.2)
第57回 日本口腔外科学会総会・学術大会 (2012.10)

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