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ヒドロキシカルバミドによる薬剤性肝障害

2014年4月掲載

薬剤 ヒドロキシカルバミド腫瘍用薬
副作用 薬剤性肝障害
概要 63歳、男性。治療抵抗性の骨髄異形成症候群の白血化に対してヒドロキシカルバミドが投与された。当初500mg/日から開始されたが、効果不十分であったため、投薬開始5日目から1,500mg/日へ増量された。投薬開始8日目に悪寒、発熱、嘔吐が出現し、当院外来を受診した。前日に44、59IU/LであったAST、ALTが5,098、3,880まで上昇し、緊急入院となった。ヒドロキシカルバミドを中止し、保存的な加療により肝機能異常は急速に改善し、約2週間で前値にまで回復した。肝障害出現時に施行した薬剤リンパ球刺激試験のStimulation Indexが2.0と陽性であった。

監修者コメント

ヒドロキシカルバミド(ハイドレア®)は細胞周期のS期に作用し、DNA合成を阻害する抗腫瘍薬である。ヒドロキシカルバミド自体の副作用として肝障害は知られているが、本症例では発熱や消化器症状を伴い、DLSTが陽性であったことから、急激かつ高度な肝障害の原因として薬剤アレルギーの関与を示している。アレルギーが関与した場合、重篤な肝障害を惹起する可能性があり、投与開始時に発熱、悪寒などのアレルギー症状が出現した場合には、より慎重な管理が求められる。

著者(発表者)
清水隆之ほか
所属施設名
慶應義塾大学医学部血液内科
表題(演題)
薬剤リンパ球刺激試験により原因が特定されたhydroxyurea(hydroxycarbamide)による薬剤性肝障害
雑誌名(学会名)
臨床血液 55(1) 125-129 (2014.1)

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