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プロピルチオウラシルによる血球貪食症候群

2023年8月掲載

薬剤 プロピルチオウラシルホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)
副作用 血球貪食症候群
概要 43歳、女性。X-1年12月に診断されたバセドウ病に対し、メチマゾールは不応、ビソプロロールは不耐容となり、X年9月にプロピルチオウラシル300 mg/日を開始した。数日後40℃の発熱が出現し入院。その数日後にショックバイタルとなりICU入室。急性腎障害および著明な代謝性アシドーシス、呼吸不全が出現し、持続的血液濾過透析(CHDF)および人工呼吸管理を開始した。骨髄検査結果より血球貪食症候群と診断し、血漿交換療法を併用の上、HLH-2004プロトコールに準じ、ステロイド(メチルプレドニゾロン)、エトポシド、シクロスポリンによる免疫抑制療法を開始した。集学的治療が奏効し、人工呼吸器・維持透析を離脱して後遺症なく退院となった。
各種精査の結果、悪性腫瘍・感染症・膠原病を示唆する所見は認めず、症状出現の時期からプロピルチオウラシルが誘引となった血球貪食症候群の可能性が高いと判断した。

監修者コメント

血球貪食症候群は、骨髄、脾臓、リンパ節など網内系における活性化マクロファージによる自己血球の貪食を特徴とする疾患である。高熱、血球減少、凝固異常、肝障害などの症状を呈し、しばしば致死的となる。本症例は、バセドウ病に対して投与したプロピルチオウラシルが誘引となり血球貪食症候群を発症した1例である。血球貪食症候群の原因としては悪性腫瘍・ウイルス感染・膠原病などが一般的であり、薬剤性は稀である。本症例のようにプロピルチオウラシルを誘引とした血球貪食症候群はこれまでに報告がなく、貴重な症例といえる。

著者(発表者)
高谷茜ほか
所属施設名
京都府立医科大学卒後臨床研修センターほか
表題(演題)
プロピルチオウラシルが誘引と考えられた血球貪食症候群の一例
雑誌名(学会名)
第120回 日本内科学会講演会医学生・研修医・専攻医の日本内科学会ことはじめ2023東京プログラム・抄録集 105 (2023)
第120回 日本内科学会講演会 2023 医学生・研修医・専攻医の日本内科学会ことはじめ(2023.4.15)

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