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エヌトレクチニブによる低ナトリウム血症、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群

2023年8月掲載

薬剤 エヌトレクチニブ腫瘍用薬
副作用 低ナトリウム血症、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群
概要 75歳、女性。咳嗽で近医を受診し、胸部異常影を指摘され当科紹介。右中葉原発性肺腺癌、ROS1融合遺伝子陽性と診断した。1次治療としてエヌトレクチニブ600mgを開始したが、第6病日よりGrade 1の低ナトリウム血症を認め、第12病日にGrade 4に増悪し、倦怠感とめまいも出現したため休薬とした。精査の結果、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)と診断し、ナトリウム負荷を行い改善した。負荷中止後も低ナトリウム血症を認めず、エヌトレクチニブによる薬剤性SIADHと診断した。第31病日よりエヌトレクチニブを400mgに減量再開し、低ナトリウム血症は認めず投与継続可能であり、PRが得られている。

監修者コメント

チロシンキナーゼ阻害薬であるエヌトレクチニブは、NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌およびROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する治療薬として用いられている。本症例は、エヌトレクチニブの投与中に低ナトリウム血症を認め、薬剤性SIADHと診断された稀な1例である。頻度は少ないものの、本薬剤の投与中に薬剤性SIADHを発症する可能性があり、投与中は血清ナトリウム濃度の定期的な経過観察が必要である。

著者(発表者)
加藤千明ほか
所属施設名
東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科ほか
表題(演題)
Entrectinib投与中に低ナトリウム血症をきたしたROS1融合遺伝子陽性肺腺癌の1例
雑誌名(学会名)
肺癌 63(2) 136 (2023)
第194回 日本肺癌学会関東支部学術集会(2022.12.17)

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