ゴリムマブによる精神神経ループス
2014年4月掲載
薬剤 | ゴリムマブその他の代謝性医薬品 |
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副作用 | 精神神経ループス |
概要 | 36歳、女性。関節リウマチ(RA)に対してMTXで治療されたが、RA病勢は改善せず、ゴリムマブ(GLM)が投与された。GLM開始後RAは改善したが、血小板減少、顔面紅斑、抗DNA抗体の出現からループス様症候群が疑われた。RAに対してGLMは有効であったため、投与間隔を延長し、継続した。一時、ループス症候群は軽快したが、再燃し精神症状(集中力低下、感情失禁)も出現し、精査加療目的に当科入院となった。MRIで大脳深部白質の高信号域、髄液所見で蛋白細胞解離を認め、精神神経ループス(NPSLE)と診断された。ステロイド大量療法により、高次脳機能障害を含めたSLE症状は著明に改善した。 |
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ヒト型抗TNF-αモノクローナル抗体製剤であるゴリムマブ(シンポニー®)は関節リウマチの新しい治療薬として注目されている。本症例では、関節リウマチに対してゴリムマブを投与したところ、関節リウマチの症状は改善したものの、血小板減少、顔面紅斑、抗DNA抗体出現に加え、集中力低下や感情失禁などの精神症状も出現したため、精神神経ループス(NPSLE)と診断された。抗TNF-α製剤によりSLEを発症するanti-TNF-induced lupus(ATIL)はこれまでに報告されているが、ATILの中でも本薬剤によりNPSLEを発症した報告は極めて稀である。関節リウマチに対して本薬剤を使用する場合にはNPSLEの合併についても注意する必要がある。
- 著者(発表者)
- 加藤大祐ほか
- 所属施設名
- 苫小牧市立病院内科
- 表題(演題)
- Golimumab治療中に精神神経ループスを発症した関節リウマチの1例
- 雑誌名(学会名)
- 第270回 日本内科学会北海道地方会 29 (2014)
第270回 日本内科学会北海道地方会 (2014.2.8)
監修者コメント