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インフリキシマブによるアナフィラキシーショック

2014年4月掲載

薬剤 インフリキシマブ消化器官用薬
副作用 アナフィラキシーショック
概要 37歳、男性。強直性脊椎炎に対してインフリキシマブを初回投与し、特に問題なく終了した。その後、患者が多忙のため投与が2回延期となった。3ヵ月後、CRP7.70と上昇を認めたが、全身状態は良好であったため、インフリキシマブ2回目投与を行った。投与開始3分後、咳嗽、気分不快を訴えたため、薬剤アレルギーを疑い投与を中止した。間もなく意識消失し、発赤、眼瞼浮腫が認められた。アナフィラキシーショックと診断し救命措置を実施し、ICUへ入室した。経過中に冠攣縮性狭心症、心室頻拍、人工呼吸器に伴う肺炎を発症した。各種処置により8日目に一般床へ転床し、17日目に退院した。

監修者コメント

抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体製剤であるインフリキシマブ(レミケード®)はわが国で最初に認可された生物学的製剤として、関節リウマチ、ベーチェット病、炎症性腸疾患、乾癬、強直性脊椎炎などの治療に広く用いられている。本症例では、強直性脊椎炎に対しインフリキシマブによる治療を開始したところ、2回目の投与において投与開始後3分でアナフィラキシーショックの状態となった。インフリキシマブの過敏反応は4~27%の頻度で発症するとされ、大部分は24時間以内に発症し、軽症のこともあれば本症例のような重篤な全身症状を呈することもある。インフリキシマブの抗体が形成されると、過敏反応のリスクが上昇することが報告されている。現状ではさまざまな生物学的製剤が承認されているが、アレルギーなどが疑われる場合は薬剤の切り替えを行うなど慎重に対応する必要がある。

著者(発表者)
佐々木欧
所属施設名
東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科
表題(演題)
レミケード投与時にみられたアナフィラキシーショック
雑誌名(学会名)
Medical Practice 31(2) 304-309 (2014.2)

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