セフトリアキソンによる胆石症
2014年3月掲載
薬剤 | セフトリアキソン抗生物質製剤 |
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副作用 | 胆石症 |
概要 | 症例1.66歳、男性。細菌性髄膜炎に対して、入院第9病日よりセフトリアキソン(CTRX)を含む抗生剤治療が開始された。症状、血液データは改善傾向であったが、第30病日より39℃程度の発熱、および肝胆道系酵素の上昇が認められるようになった。腹部CTにて胆嚢内結石、総胆管結石が認められたため、総胆管結石による閉塞性胆管炎を疑い、内視鏡的逆行性胆管ドレナージチューブの留置のみで処置を終了した。第55病日には胆嚢内、総胆管の胆石は消失していた。 |
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第3世代セフェム系抗生剤であるセフトリアキソン(CTRX: ロセフィン®)は血中半減期が長く、胆汁中や髄液中への移行がよいことから、胆道系感染症や細菌性髄膜炎など多くの感染症に広く使用されている。一方で、小児を中心にCTRXの投与が胆泥形成に関与することが知られている。65歳以上の高齢者ではCTRXによる胆泥・胆石形成の報告は比較的稀とされているが、本文献では細菌性髄膜炎に対するCTRX投与後に胆石症を発症した2例を報告している。今後、高齢者にもCTRXを投与する機会が増加することが予想される。本剤により胆石症を発症することがあり、時には閉塞性胆管炎などの重篤な合併症を併発する可能性もあることを念頭におく必要がある。
- 著者(発表者)
- 井元章ほか
- 所属施設名
- 大阪医科大学付属病院第二内科
- 表題(演題)
- 細菌性髄膜炎に対するセフトリアキソン(CTRX)の投与が原因と考えられた胆石症の2成人例
- 雑誌名(学会名)
- 胆道 27(5) 835-841 (2013.12)
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