アダリムマブによる大動脈炎
2014年3月掲載
薬剤 | アダリムマブその他の代謝性医薬品 |
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副作用 | 大動脈炎 |
概要 | 23歳、女性。前医にてクローン病が疑われたためメサラジン3g/日を開始し、当院へ転院した。小腸造影では遠位回腸に縦走潰瘍瘢痕がみられ、小腸大腸型クローン病と診断した。その後、発熱の遷延と関節痛の悪化を認め、病勢悪化と考えアダリムマブを導入した。臨床的寛解導入に成功しCRPも陰転化したため退院した。アダリムマブ導入後6週目で発熱、CRP5mg/dLの上昇を認めた。CT上クローン病の活動性悪化や膿瘍形成は認めなかったが、胸腹部移行部の大動脈壁肥厚を認め大動脈炎が疑われた。Gaシンチもこれに矛盾しない所見であった。導入10週目よりアダリムマブを中止し、大動脈炎に対しPSLを開始した。1週間後にはCRPの陰転化を認め、PSLへの反応は極めて良好であった。以後PSLを漸減し、再燃を認めていない。 |
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抗TNFa抗体製剤であるアダリムマブ(ヒュミラ®)はクローン病の治療薬として注目されている。ヒト型モノクローナル抗体であるため、同じ抗TNFa抗体製剤でキメラ型モノクローナル抗体のインフリキシマブ(レミケード®)に比べ投与時反応(インフュージョンリアクション)が少ないのが特徴である。本文献では難治性のクローン病に対しアダリムマブを導入したところ、大動脈炎を発症した稀な症例を報告している。本症例はステロイド投与により軽快したが、アダリムマブの投与時には大動脈炎の合併にも留意する必要がある。
- 著者(発表者)
- 清原裕貴ほか
- 所属施設名
- 慶應義塾大学医学部消化器内科ほか
- 表題(演題)
- アダリムマブ投与中に大動脈炎を発症したクローン病の一例
- 雑誌名(学会名)
- 日本臨床免疫学会会誌 [09114300] 36(5) 422 (2013.10)
第41回 日本臨床免疫学会総会(2013.11.27-29)
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