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ゴリムマブによるparadoxical reaction、掌蹠膿疱症

2023年2月掲載

薬剤 ゴリムマブその他の代謝性医薬品
副作用 paradoxical reaction、掌蹠膿疱症
概要 53歳、女性。46歳時に潰瘍性大腸炎と診断され、5-アミノサリチル酸にて寛解維持されていたが、52歳時に再燃を認めアザチオプリンにて寛解維持していた。その後アザチオプリン不耐となり中止。53歳時に潰瘍性大腸炎の再燃を認めたため、ゴリムマブを開始した。しかし、ゴリムマブ投与4週後より手掌・足底含む全身に膿疱が多数出現した。皮膚生検を施行したところ、顆粒層の菲薄化や不全角化、角層内に好中球の集簇を認め、ゴリムマブのparadoxical reactionによる掌蹠膿疱症と診断した。ゴリムマブは中止し、ステロイド外用と抗ヒスタミン薬により皮膚症状は一時的に改善したものの、その後徐々に悪化した。潰瘍性大腸炎の維持治療と手掌膿疱症の治療を兼ねて、ウステキヌマブを導入した。その後炎症反応は速やかに改善し、皮膚症状も改善の経過を得ている。

監修者コメント

抗Tumor necrosis factor (TNF) -α抗体製剤であるゴリムマブは、潰瘍性大腸炎や関節リウマチの治療薬として用いられている。Paradoxical reaction(逆説的反応)とは、薬物療法において、本来予想されるはずの作用と逆の反応が生じることである。抗TNF-α抗体製剤の副作用として、インフリキシマブやアダリムマブを導入されている患者でparadoxical reactionによる掌蹠膿疱症が報告されているが、ゴリムマブでの報告は少ない。本薬剤の使用中に膿疱を認めた際には、paradoxical reactionによる掌蹠膿疱症も念頭におき、適切な処置を行う必要がある。

著者(発表者)
山川麻郁子ほか
所属施設名
大阪公立大学附属病院消化器内科
表題(演題)
ゴリムマブのparadoxical reactionにより掌蹠膿疱症を発症した潰瘍性大腸炎の一例
雑誌名(学会名)
日本消化器病学会近畿支部第117回例会プログラム・抄録集 96 (2022)
第117回 日本消化器病学会近畿支部例会(2022.10.8)

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