クエチアピンによる低血糖発作
2023年2月掲載
薬剤 | クエチアピン中枢神経用薬 |
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副作用 | 低血糖発作 |
概要 | 80歳代、男性。糖尿病の既往はなし。Lewy小体型認知症の症例で、X年4月頃より幻視が出現し、行動・心理症状が増悪したため紹介された。ペロスピロンなどを使用したが改善せず同年5月に入院とした。クエチアピン50mg/dayに変更したところ速やかに幻視は改善したが、数日後から朝や夕食前に頭重感を生じ70mg/dL台の低血糖傾向を認めクエチアピンを減量すると症状は消退した。 |
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クエチアピンは多元受容体作用抗精神病薬として主に統合失調症の治療薬として使用されている。有害事象として高血糖を引き起こすことは広く知られているが、本症例のように低血糖発作を生じる例は稀である。同一の薬で高血糖と低血糖を発症する機序は本薬剤がもつ複数の受容体への親和性の関与が指摘されている。本薬剤の投与中は、血糖値などの経過観察を十分に行う必要がある。
- 著者(発表者)
- 羽金裕也ほか
- 所属施設名
- 医療法人為進会寿泉堂松南病院ほか
- 表題(演題)
- Quetiapineによる低血糖様症状が疑われた1例―抗精神病薬が血糖値に与える影響―
- 雑誌名(学会名)
- 精神神経学雑誌 124(9) 660 (2022)
第75回 東北精神神経学会(2021.10.10)
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