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バリウムによる虫垂炎

2023年2月掲載

薬剤 バリウム診断用薬(体外診断用医薬品を除く)
副作用 虫垂炎
概要 【症例1】40歳、男性。201X年11月15日に健康診断で上部消化管造影検査を施行。11月19日頃から右腰背部痛を自覚し、増強してきたことから12月3日に当院を受診した。右腸骨窩に圧痛を認め、CTでは虫垂内部に著明な高吸収域が存在したことからバリウム虫垂炎を疑い、絶食下で抗菌薬投与を開始した。術前検索を進めていたが、経過観察のCTでバリウムが虫垂から消失するにつれて腹部症状も軽快し、虫垂切除は行わずに退院とした。
【症例2】44歳、男性。201Y年3月31日に健康診断で上部消化管造影検査を受けた。同時に便潜血が陽性であったことから、4月28日に当科で下部消化管内視鏡検査を実施した。4月29日未明より下腹部から右腸骨窩へ移動する腹痛が出現し、その後症状が増悪したことから同日当院を受診した。右腸骨窩に反跳痛を認め、CTでは虫垂腫大、虫垂内部の著明な高吸収域および虫垂周囲へ炎症波及を認めた。当院外科へ紹介し、4月30日に虫垂切除術が施行され、病理学的に壊死性虫垂炎と診断された。術後経過は良好で、5月8日に退院となった。

監修者コメント

バリウム虫垂炎は、消化管造影検査後、虫垂にバリウムが残留することで発症する疾患であり、消化管穿孔に至る可能性もあるため注意が必要である。稀な有害事象ではあるが、消化管造影検査は癌検診などで広く行われており、検査後に急性腹症を発症した際には、バリウム虫垂炎も疑い、適切な処置を行う必要がある。

著者(発表者)
高橋洸ほか
所属施設名
NHO旭川医療センター消化器内科
表題(演題)
当院で経験したバリウム虫垂炎の2例
雑誌名(学会名)
第76回 国立病院総合医学会(プログラム・抄録集) ポスター155-1120 (2022)
第76回 国立病院総合医学会(2022.10.7-8)

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