せりみっく 今月の症例

ホーム > 新着文献  > クエン酸マグネシウムによる高マグネシウム血症

クエン酸マグネシウムによる高マグネシウム血症

2023年2月掲載

薬剤 クエン酸マグネシウム診断用薬(体外診断用医薬品を除く)
副作用 高マグネシウム血症
概要 【症例1】74歳、男性。第1病日、CS施行のため院内で10時にクエン酸マグネシウム(以下クエン酸Mg)68gを水1.8Lに溶解し内服、その後嘔気・嘔吐、四肢脱力、意識障害を認めた。CTにてS状結腸癌による腸閉塞の診断となった。14時と17時の採血でMg 9.2、Mg 11.5と経時的な上昇を認めた。18時に経鼻イレウス管留置しICU入室。ICU入室後、循環動態、呼吸状態の悪化を認め挿管、人工呼吸器管理。23時より人工透析。透析後Mg値5.9と改善を認めたが、全身状態改善なく、当科コンサルト。第2病日、5時緊急S状結腸人工肛門造設術施行。その後ストマから大量の排便を認め、Mg 5.5、全身状態改善を見せ第10病日抜管、翌日ICU離室。第48病日に退院となった。
【症例2】69歳、女性。他院でCS施行目的に、検査前日クエン酸Mg 34gを水250mLに溶解し内服。反応便に乏しく第1病日に嘔吐。前医より腸閉塞の診断で当院救急紹介となった。CTで下行結腸癌による腸閉塞の診断となった。13時の採血でMg 6.8と高値を認めた。症状は腹痛症状のみであった。緊急経肛門イレウス管留置術、腸洗浄を行った。19時の採血でMg 6.0と低下。イレウス管からの排液は良好で、補液で対応可能と判断した。翌日の採血でMg 4.5と改善。症状もなく経過し、第12病日に腹腔鏡下S状結腸切除を施行した。

監修者コメント

クエン酸Mgは、大腸検査の前処置などに広く使用されている。本文献では、大腸内視鏡検査前にクエン酸Mgの内服により高Mg血症をきたした症例を2例報告している。本薬剤の添付文書にも重大な副作用として、高Mg血症が記載されている。本薬剤の投与中に嘔気・嘔吐、脱力、意識障害などの症状を認めた際には、稀ではあるが高Mg血症も念頭におき、適切な処置を行う必要がある。

著者(発表者)
近藤芳彦ほか
所属施設名
JCHO東京新宿メディカルセンター外科
表題(演題)
大腸内視鏡前処置としてクエン酸マグネシウム服用後に高マグネシウム血症を来した2例
雑誌名(学会名)
第84回 日本臨床外科学会総会(プログラム・抄録集) P-03-2 (2022)
第84回 日本臨床外科学会総会(2022.11.24-26)

新着文献 一覧

PAGETOP