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ニボルマブによる十二指腸炎、下垂体炎、甲状腺機能低下症、皮膚障害

2023年1月掲載

薬剤 ニボルマブ腫瘍用薬
副作用 十二指腸炎、下垂体炎、甲状腺機能低下症、皮膚障害
概要 69歳、男性。6年前に右腎細胞癌に対して根治的右腎摘出術を行った。4年後に副腎転移の診断となり、ヴォトリエント開始後に肝機能障害で中止となった。副腎転移増悪ならびに肺転移出現にてニボルマブを開始した。2ヵ月目に下垂体炎ならびに甲状腺機能低下症を発症し、コートリルとチラーヂンの内服を開始した。10ヵ月目に皮膚障害が出現し中止となった。PR維持していたが、中止後4ヵ月目に食欲不振、下痢、全身倦怠感が出現し入院となった。白血球、CRP、LDH、CPK、GOT、GPT、クレアチニンが著明上昇。腹部CTにて十二指腸壁下行部の全周肥厚とIMA周囲にリンパ節腫大を認めた。ニボルマブによる免疫関連有害事象(irAE)と診断した。意識レベル低下を生じ、ステロイドパルス療法やプロトンポンプ阻害薬を開始したところ、治療翌日より症状は劇的に短期間で改善していった。

監修者コメント

抗PD-1モノクローナル抗体であるニボルマブは免疫チェックポイント阻害薬として多くの癌腫の治療に用いられている。免疫チェックポイント阻害薬の特徴的な副作用として、免疫関連有害事象(irAE)が報告されている。本症例では、腎癌に対してニボルマブを投与したところ、十二指腸炎、下垂体炎、甲状腺機能低下症、皮膚障害を発症し、irAEと診断されている。irAEとして十二指腸炎は稀であり、貴重な報告といえる。

著者(発表者)
松村直紀ほか
所属施設名
耳原総合病院泌尿器科ほか
表題(演題)
ニボルマブ投与後に十二指腸炎を来した腎癌の1例
雑誌名(学会名)
泌尿器外科 35(臨増) 826 (2022)
第86回 日本泌尿器科学会東部総会(2021.9.3-10.18)

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