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デュルバルマブによる劇症1型糖尿病、甲状腺機能低下症

2023年1月掲載

薬剤 デュルバルマブ腫瘍用薬
副作用 劇症1型糖尿病、甲状腺機能低下症
概要 71歳、男性。糖尿病の既往歴なし。進展型小細胞肺癌cT4N3M1b stage IVAに対して、20XX年5月よりカルボプラチン+エトポシド+デュルバルマブ併用療法が開始された。Day27より口渇、食欲不振、倦怠感が出現し、2コース目投与日(day30)の検査で高血糖(761mg/dL)、尿ケトン陽性、尿中Cペプチド3.9μg/日を認め、デュルバルマブによる劇症1型糖尿病と診断した。インスリン治療で血糖コントロールが得られた後に、カルボプラチン+エトポシド併用療法が3コース行われた。著明な治療効果が得られ、その後病状進行はみられていない。また1型糖尿病発症3ヵ月後にgrade2の甲状腺機能低下症を併発したため、レボチロキシンナトリウムが投与され、甲状腺機能は正常化を維持している。

監修者コメント

抗PD-L1モノクローナル抗体であるデュルバルマブは免疫チェックポイント阻害薬(ICI)として肺癌の治療に用いられている。本症例はデュルバルマブ投与後に劇症1型糖尿病を発症した小細胞肺癌の1例である。非小細胞肺癌に対するICIによる劇症1型糖尿病の報告は散見されるが、小細胞肺癌では稀である。頻度は少ないものの、劇症1型糖尿病は緊急性のある免疫関連有害事象であり、本薬剤の投与中は血糖値を含めた血液検査などにより経過観察を行うことが重要である。

著者(発表者)
寺師直樹ほか
所属施設名
日本医科大学多摩永山病院呼吸器・腫瘍内科ほか
表題(演題)
デュルバルマブ投与後に劇症1型糖尿病を発症した小細胞肺癌の1例
雑誌名(学会名)
肺癌 62(4) 323-328 (2022)

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