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ボリコナゾールによる骨膜炎

2014年3月掲載

薬剤 ボリコナゾール抗生物質製剤
副作用 骨膜炎
概要 52歳、女性。Overlapsyndrome経過中に肺アスペルギルス症と診断され、ボリコナゾール内服を開始した。その後、血中ALPの急激な上昇を認め、両側肩、上腕、肩甲骨、季肋部、大腿部痛が出現した。骨代謝マーカー上昇と骨シンチグラムで両側対称性の集積、CTでは骨硬化病変と骨膜反応、右肩甲骨および左腸骨に外骨腫を認めた。MRIでは骨表面を中心にT2高信号域を認め骨膜炎に矛盾しない所見であった。ボリコナゾール関連骨膜炎を疑い、血中フッ素濃度を測定したところ24.9μmol/Lと上昇を認めた。ボリコナゾール内服中止後、血中フッ素濃度低下と血中ALP低下および疼痛改善を認めた。

監修者コメント

膠原病加療中に抗真菌薬であるボリコナゾールが誘発したと考えられる骨膜炎の一例である。ボリコナゾール内服後に血中ALP上昇、多発性骨病変、血中フッ素上昇などを認めたことから、ボリコナゾールに含有されるフッ素が骨芽細胞を介した骨膜変化を生じた可能性が考えられる。ボリコナゾール内服中に骨痛を認める場合は、本剤による骨膜炎も鑑別に挙げる必要がある。

著者(発表者)
廣田圭昭ほか
所属施設名
京都大学糖尿病・内分泌・栄養内科ほか
表題(演題)
膠原病加療中に発症したボリコナゾール誘発性骨膜炎の一例
雑誌名(学会名)
日本内分泌学会雑誌 89(3) 929 (2013.12)
第23回 臨床内分泌代謝Update (2014.1.24-25)

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