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ベンラリズマブによる後天性血友病A

2022年11月掲載

薬剤 ベンラリズマブ呼吸器官用薬
副作用 後天性血友病A
概要 70歳代、女性。気管支喘息で当院呼吸器内科にてフォロー中。8ヵ月前よりベンラリズマブ(抗IL-5受容体αモノクロナール抗体)による治療を開始していた。肉眼的血尿が出現し、前医受診。同日の検査でAPTT延長を認め、精査加療目的に当院血液内科へ転院となった。クロスミキシング試験にて即時反応は下に凸、遅延反応は上に凸であり、インヒビターパターンであると考えられた。抗カルジオリピンβ2GPⅠ抗体1.2以下U/mL、ループスアンチコアグラント1.03、第Ⅷ因子活性1.0%、第Ⅸ因子活性60.2%、第Ⅷ因子インヒビター2.00ベセスダU/mLであった。以上の結果より、後天性血友病A と診断された。

監修者コメント

ベンラリズマブはヒト化抗IL-5受容体αモノクローナル抗体製剤であり、気管支喘息の治療薬として使用されている。本症例は、気管支喘息に対して投与されたベンラリズマブにより後天性血友病Aを発症した稀な1例である。後天性血友病Aとは、後天性に第Ⅷ因子に対するインヒビターが出現し、第Ⅷ因子活性が著しく低下して出血症状を呈する疾患である。ベンラリズマブによる血中IL-5濃度上昇が後天性血友病Aの原因の1つであると推測されている。後天性血友病Aの原因として本薬剤が報告されたことはなく、貴重な症例といえる。

著者(発表者)
鶴田志穂ほか
所属施設名
唐津赤十字病院
表題(演題)
後天性血友病Aの原因として今までに報告のないベンラリズマブが推定された1例
雑誌名(学会名)
第71回日本医学検査学会抄録集(Web) 123 (2022)
第71回 日本医学検査学会 (2022.5.21-22)

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