せりみっく 今月の症例

ホーム > 新着文献  > エトレチナートによる毛髪の縮れ、脱毛、口唇炎、皮膚菲薄化

エトレチナートによる毛髪の縮れ、脱毛、口唇炎、皮膚菲薄化

2022年11月掲載

薬剤 エトレチナートビタミン剤
副作用 毛髪の縮れ、脱毛、口唇炎、皮膚菲薄化
概要 83歳、女性。汎発性膿疱性乾癬を発症し、当科を初診した。初診時には38℃の発熱、全身に多発する紅斑、膿疱を認めたが、エトレチナートを開始し、皮疹は消失した。エトレチナートの減量を試みたが、発熱や皮疹が再燃したため、エトレチナート40mgを維持量とした。その後、外来で治療を継続していたところ、次第に毛髪の縮れや脱毛が出現した。口唇炎や皮膚菲薄化の副作用も生じたため、シクロスポリンやアプレミラストを併用しながらエトレチナートを減量した。シクロスポリン、アプレミラストはいずれも副作用のため投与の継続は困難であったが、エトレチナートを10mgまで減量した。口唇炎や皮膚菲薄化はやや改善したものの、毛髪の縮れは変わらず持続した。初診2年後にセクキヌマブを導入し、エトレチナートを中止した。その後毛髪の縮れは次第に改善し、中止1年後には完全に消失した。

監修者コメント

汎発性膿疱性乾癬に対して投与されたエトレチナートにより毛髪の縮れを生じた1例である。エトレチナート以外のレチノイドでも同様の報告があり、レチノイドによる角層の脱落や、レチノイドX受容体を介した細胞周期の停止、細胞死の誘導などが成長期の毛包に影響を与え、毛髪の縮れや脱毛を生じることが推察されている。毛髪の縮れは患者にとって心理的負担が大きいため、本副作用の発症リスクを事前に説明する必要があると考えられる。

著者(発表者)
山賀三紗子ほか
所属施設名
函館中央病院皮膚科
表題(演題)
薬疹・薬物障害 エトレチナートにより毛髪の縮れを生じた1例
雑誌名(学会名)
皮膚科の臨床 64(7) 1208-1209 (2022)

新着文献 一覧

PAGETOP