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セファゾリンによる周期性四肢麻痺

2022年9月掲載

薬剤 セファゾリン抗生物質製剤
副作用 周期性四肢麻痺
概要 46歳、女性。頚椎症性脊髄症に対して椎弓形成術を施行した。術後9時間後より両側上下肢の筋力低下が生じ、最終的に四肢麻痺となった。硬膜外血腫を疑い緊急血腫除去術を施行したが、術中の血腫はごく少量であった。術後、四肢麻痺の症状は改善したが、その後も周期性に麻痺症状が出現した。最終的に経過と種々の検査から、予防的抗菌薬として投与したセファゾリンが麻痺症状の原因であることが判明した。

監修者コメント

頚椎症性脊髄症に対する椎弓形成術後に予防的抗菌薬として投与したセファゾリンにより周期性四肢麻痺を発症した1例である。抗菌薬の投与により、稀に神経筋接合部遮断による麻痺症状を呈することがあり、Antibiotic-induced Neuromuscular Blockade(AiNMB)とよばれている。本症例では、頚椎除圧術術後急性期であることや、AiNMB自体が非常に稀な副作用であることから、麻痺症状の原因については、当初は硬膜外血腫と考えられていた。セファゾリンは周術期の予防的抗菌薬として頻繁に使用されているが、AiNMBの原因となり得るため、注意が必要である。

著者(発表者)
上山晋也ほか
所属施設名
大阪医科薬科大学整形外科
表題(演題)
頚椎症性脊髄症に対する椎弓形成術後の周期性四肢麻痺
雑誌名(学会名)
中部日本整形外科災害外科学会雑誌 65(春学) 241 (2022)
第138回 中部日本整形外科災害外科学会・学術集会(2022.4.8-9)

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