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フルオロウラシルによる劇症1型糖尿病

2022年8月掲載

薬剤 フルオロウラシル腫瘍用薬
副作用 劇症1型糖尿病
概要 40歳、女性。20XX年3月、盲腸癌に対して腹腔鏡下盲腸切除術を施行。同年6月1日からフルオロウラシル、ホリナートによる補助化学療法の1コース目が開始された。7月6日から2コース目が開始となり7月10日から口渇感、多飲が出現し、腹痛も伴い、7月19日に当院を受診。随時血糖438mg/dL、HbA1c7.3%、血清3‐ヒドロキシ酪酸4500μmol/L以上、動脈血ガス分析では、pH7.175、HCO37.8mmol/L、anion gap 23.2と糖尿病性ケトアシドーシスを認めたため、緊急入院となった。抗GAD抗体陰性、空腹時血清Cペプチド値0.1ng/mL未満、グルカゴン負荷後のCペプチド値0.2ng/mLを示し、劇症1型糖尿病と診断した。

監修者コメント

フルオロウラシル(5-FU)はフッ化ピリミジン系の代謝拮抗剤であり、大腸癌や胃癌などの消化器癌をはじめ、様々な癌種の治療に用いられている代表的な抗癌剤である。本症例は、盲腸癌に対するフルオロウラシル、ホリナートによる化学療法中に劇症1型糖尿病および糖尿病性ケトアシドーシスを発症した1例である。免疫チェックポイント阻害薬による劇症1型糖尿病は近年報告されているが、本症例のような代謝拮抗剤をベースとした化学療法で劇症1型糖尿病を発症する例は稀であり、興味深い1例である。

著者(発表者)
梶谷隼人ほか
所属施設名
獨協医科大学病院内分泌代謝内科
表題(演題)
盲腸癌に対する化学療法中に発症した劇症1型糖尿病の1例
雑誌名(学会名)
第59回日本糖尿病学会関東甲信越地方会プログラム・抄録集 84 (2022)
第59回 日本糖尿病学会関東甲信越地方会(2022.1.22)

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