せりみっく 今月の症例

ホーム > 新着文献  > ペムブロリズマブによる乾癬様皮疹、指炎、乾癬性関節炎

ペムブロリズマブによる乾癬様皮疹、指炎、乾癬性関節炎

2022年8月掲載

薬剤 ペムブロリズマブ腫瘍用薬
副作用 乾癬様皮疹、指炎、乾癬性関節炎
概要 59歳、男性。右上葉肺腺癌術後、縦隔リンパ節に再発。カルボプラチン+ペメトレキセド+ペムブロリズマブを4コース後、ペムブロリズマブ単剤で維持療法を施行。10コース後に体幹・四肢の乾癬様皮疹、多発関節炎、指炎が出現した。MRIでは膝関節の付着部炎、手指の腱鞘炎・関節炎を認めた。乾癬の既往歴はないが、血液検査でリウマトイド因子が陰性であり、CASPAR分類では合計4点で乾癬性関節炎と診断した。
ペムブロリズマブの免疫関連副作用と考え投薬を中止したが2週間後も症状の改善を認めず、プレドニゾロン+メトトレキサート、および皮疹にはステロイド外用剤を開始した。皮疹は改善傾向であったが関節炎は持続したため、プレドニゾロンを増量し症状は著明に改善した。メトトレキサートを漸増、プレドニゾロンを漸減し関節炎、皮疹は寛解状態を維持している。また、肺癌は無治療で経過観察中であるが、再増大を認めていない。

監修者コメント

ヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体であるペムブロリズマブは、免疫チェックポイント阻害薬として悪性黒色腫や肺癌などの様々な癌種の治療で効果をあげている。一方で、特徴的な有害事象として、免疫関連副作用が報告されている。本症例は、ペムブロリズマブ投与中に免疫関連副作用として乾癬性関節炎を発症した肺癌の1例である。稀な有害事象ではあるが、免疫チェックポイント阻害薬による治療は今後も増加することが予想され、免疫関連副作用による乾癬性関節炎にも注意すべきである。

著者(発表者)
勝田倫子ほか
所属施設名
独立行政法人国立病院機構姫路医療センター呼吸器内科ほか
表題(演題)
ペムブロリズマブ投与中,乾癬性関節炎を発症した肺癌の1例
雑誌名(学会名)
第66回 日本リウマチ学会総会・学術集会プログラム・抄録集 628 (2022)
第66回 日本リウマチ学会総会・学術集会(2022.4.25-5.31)

新着文献 一覧

PAGETOP