デュラグルチドによる腸管気腫症
2022年6月掲載
薬剤 | デュラグルチドホルモン剤(抗ホルモン剤を含む) |
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副作用 | 腸管気腫症 |
概要 | 73歳、男性。45歳で2型糖尿病と診断され、内服薬で治療するもHbA1c10%台であった。COPDおよび胸膜結節にて当院呼吸器内科受診、胸腔鏡下肺生検の術前血糖管理目的で当科紹介となった。 基礎インスリンとデュラグルチド併用療法を開始後、便秘となり緩下剤が開始された。生検にて小細胞癌と診断、化学療法導入時のCTにて小腸の壁内気腫と腹腔内遊離ガスを認め腸管気腫症と診断された。 腸管壊死を示唆する所見は認めず、デュラグルチドを中止し強化療法に変更し、保存的加療で腸管気腫症は自然寛解した。 |
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GLP-1受容体作動薬であるデュラグルチドは、膵β細胞のGLP-1受容体に結合し、グルコース濃度依存的にインスリン分泌を亢進する薬剤であり、2型糖尿病の治療薬として使用されている。糖尿病患者に対するα-グルコシダーゼ阻害薬投与後に腸管気腫症を発症した報告は散見されるが、本症例のようなGLP-1受容体作動薬投与後の発症は稀といえる。本薬剤による蠕動運動抑制による腸管内圧上昇が可逆的な腸管気腫症の原因となった可能性が考えられる。
- 著者(発表者)
- 淵野萌子ほか
- 所属施設名
- 長崎大学病院内分泌・代謝内科ほか
- 表題(演題)
- GLP-1受容体作動薬投与中に腸管気腫症をきたした2型糖尿病の1例
- 雑誌名(学会名)
- 第59回 日本糖尿病学会九州地方会 177 (2021)
第59回 日本糖尿病学会九州地方会(2021.11.19-12.13)
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