クロピドグレル硫酸塩による薬剤誘発性ループス
2022年6月掲載
薬剤 | クロピドグレル硫酸塩血液・体液用薬 |
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副作用 | ループス |
概要 | 77歳、男性。労作時呼吸困難を主訴に受診し右優位の両側胸水がみられた。リンパ球優位の滲出性胸水であり、悪性胸膜中皮腫や結核性胸膜炎などを鑑別に挙げて胸腔鏡検査を行ったが非特異的な炎症所見のみであった。 膠原病や薬剤性などを鑑別目的に精査したところ、抗核抗体が2560倍であったが抗ds-DNA抗体やRF因子は陰性であり皮疹や関節症状は無かった。 薬剤誘発性ループスを疑い、2年前より開始されているクロピドグレル硫酸塩の中止かつステロイド投与を行った。抗核抗体は低下しステロイド中止可能であった。後日抗ヒストン抗体陽性が判明し、薬剤誘発性ループスと診断した。 |
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クロピドグレル硫酸塩は、脳梗塞の再発予防などに広く使用されている抗血小板剤である。本症例は、脳梗塞の予防に対して内服していたクロピドグレル硫酸塩により、薬剤誘発性ループスを発症した稀な1例である。同系統薬であるチクロピジン塩酸塩による薬剤誘発性ループスの報告はあるが、本薬剤が被疑薬と考えられた報告はこれまでになく、貴重な症例といえる。
- 著者(発表者)
- 塚本玲ほか
- 所属施設名
- 明石医療センター呼吸器内科
- 表題(演題)
- クロピドグレル硫酸塩による薬剤誘発性ループスの一例
- 雑誌名(学会名)
- 第98回 日本呼吸器学会近畿地方会/第128回 日本結核・非結核性抗酸菌症学会近畿支部学会 プログラム・抄録集(Web) OS5-3 (2021)
第98回 日本呼吸器学会近畿地方会 第128回 日本結核・非結核性抗酸菌症学会近畿支部学会(2021.12.11)
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