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ニンテダニブによる左室内血栓症

2022年6月掲載

薬剤 ニンテダニブその他の代謝性医薬品
副作用 左室内血栓症
概要 83歳、男性。併存疾患に心房細動(ワーファリン服用中)、陳旧性心筋梗塞がある。関節リウマチによる間質性肺炎に対して、8ヵ月前からニンテダニブを内服していた。呼吸状態が徐々に悪化し、在宅酸素流量の調整目的に入院となった。
入院時の心エコー検査で、3ヵ月前には認めなかった左室内血栓が指摘された。凝固線溶系の異常は指摘できなかった。ニンテダニブを中止し、ヘパリン投与とワーファリン増量により、フォローアップの心エコー検査では左室内血栓は縮小を認めた。

監修者コメント

チロシンキナーゼ阻害剤であるニンテダニブは、抗線維化剤として、肺線維症や間質性疾患の治療に用いられている。本症例は、間質性肺疾患に対するニンテダニブの内服中に左室内血栓症を発症した1例である。本患者は、心筋梗塞による左室壁運動異常が存在し、血栓症リスクのある患者であったが、ワーファリン内服を継続しており、3ヵ月前には左室内血栓を認めなかったことから、本薬剤が血栓形成に寄与した可能性が考えられる。本症例のような左室内血栓症の発症は稀であるが、重篤な合併症につながる可能性もあるため、注意が必要である。

著者(発表者)
陣野一輝ほか
所属施設名
京都第一赤十字病院呼吸器内科ほか
表題(演題)
関節リウマチに合併した間質性肺疾患に対してニンテダニブ内服中に左室内血栓症が発生した1例
雑誌名(学会名)
第98回 日本呼吸器学会近畿地方会/第128回 日本結核・非結核性抗酸菌症学会近畿支部学会 プログラム・抄録集(Web) OS2-2 (2021)
第98回 日本呼吸器学会近畿地方会 第128回 日本結核・非結核性抗酸菌症学会近畿支部学会(2021.12.11)

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