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エルトロンボパグによる肺障害

2022年6月掲載

薬剤 エルトロンボパグその他の代謝性医薬品
副作用 肺障害
概要 70歳、女性。特発性血小板減少性紫斑病、好酸球増多症に対してエルトロンボパグとステロイドが開始された。治療開始から約8ヵ月後にステロイドは中止され、エルトロンボパグのみ継続となった。エルトロンボパグ開始から約13ヵ月後より咳嗽、呼吸困難が出現し、両肺野に浸潤影を認めた。一旦経過観察をするも、病状は悪化傾向であったため、入院の方針となった。
血清KL-6は11600 U/mL、SP-Dは297 ng/mLと著高しており、経気管支肺生検では、器質化肺炎の所見を得た。臨床的に、エルトロンボパグによる薬剤性肺障害を疑い、同薬を中止した。徐々に自覚症状、検査所見、画像所見は改善傾向であったため、ステロイド投与などの追加治療はせず、退院の方針とした。退院後も肺病変は悪化なく経過している。

監修者コメント

トロンボポエチン受容体作動薬であるエルトロンボパグは、経口造血刺激薬として、慢性特発性血小板減少性紫斑病や再生不良性貧血の治療に用いられている。重大な副作用として、肝機能障害、血栓塞栓症、出血などが添付文書にも記載されているが、本症例のような薬剤性肺障害の報告は稀である。本薬剤の投与中に咳嗽や呼吸困難などの症状を認めた場合には、薬剤性肺障害も念頭に置き、投与の中止などを考慮すべきである。

著者(発表者)
古川雄一郎ほか
所属施設名
関西電力病院呼吸器内科
表題(演題)
エルトロンボパグによる薬剤性肺障害の一例
雑誌名(学会名)
第98回 日本呼吸器学会近畿地方会/第128回 日本結核・非結核性抗酸菌症学会近畿支部学会 プログラム・抄録集(Web) OS10-1 (2021)
第98回 日本呼吸器学会近畿地方会 第128回 日本結核・非結核性抗酸菌症学会近畿支部学会(2021.12.11)

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