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ベバシズマブ+FOLFIRI療法によるB型肝炎ウイルスの再活性化

2014年2月掲載

薬剤 ベバシズマブ腫瘍用薬
FOLFIRI療法その他
副作用 B型肝炎ウイルスの再活性化
概要 74歳、男性。HBc抗体陽性のHBV既往感染患者。肝転移、肺転移を有する直腸癌と診断され、化学療法が奏効したため、直腸切除術が施行された。その後、肝転移の再発、肺転移の増悪が認められたため、bavacizumab+FOLFIRI療法を21サイクル施行された。施行42日後からAST、ALTが顕著に上昇したため入院となった。精査の結果、HBs抗原陽性、HBc抗体陽性、HBe抗原陽性、HBe抗体陽性、HBV-DNA 9.0 log copies/mL以上とHBVの再活性化が明らかとなった。エンテカビルが投与され、血漿交換も行われたが、肝不全により永眠した。

監修者コメント

近年、化学療法によるHBVの再活性化が問題となっている。これまではHBs抗原陽性例が大半であったが、rituximabなどの分子標的薬の導入によりHBs抗原陰性でHBs抗体もしくはHBc抗体陽性の既往感染例におけるHBVの再活性化が報告されている。しかし、既往感染例における再活性化の報告は造血器腫瘍の患者が大半で、固形癌患者では稀である。本症例はHBc抗体陽性のHBV既往感染患者で、肝転移・肺転移を有する直腸癌に対するbavacizumab+FOLFIRI療法施行中に肝機能障害と共にHBVの再活性化を認めた。今後は造血器腫瘍・固形癌にかかわらず、全身化学療法を施行するHBV既往感染例に対しては、HBs抗体およびHBc抗体の測定や定期的な肝機能およびウイルスマーカーの測定が必要であると考えられる。

著者(発表者)
野口裕介ほか
所属施設名
第二岡本病院薬剤部ほか
表題(演題)
Bevacizumab+FOLFIRI療法施行中に発症したHBV既往感染患者における再活性化の1例
雑誌名(学会名)
癌と化学療法 40(11) 1561-1563 (2013.11)

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