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シタラビンによる角膜上皮下microcyst

2022年4月掲載

薬剤 シタラビン腫瘍用薬
副作用 角膜上皮下microcyst
概要 35歳、女性。急性骨髄性白血病の地固め療法として、シタラビンの5日間の大量点滴投与が施行された。点滴開始から7日後に両眼性の眼痛、開瞼困難、視力障害、羞明を自覚したため当科を受診した。
両眼の角膜上皮下に多発するmicrocystを認め、病変は角膜中央に集中していた。角膜上皮障害の予防として点滴開始とともに人工涙液とステロイド点眼が処方されていたが、回数を増やして経過観察としたところ翌日には自覚症状が改善した。点滴開始から17日後には、角膜の病的所見もほぼ消失した。

監修者コメント

代謝拮抗性抗悪性腫瘍薬であるシタラビンは、急性白血病や消化器癌などの治療薬として用いられている。大量投与時に結膜炎や羞明などの眼症状が50%以上に認められると報告されている。本薬剤による眼障害は、国内では点状表層性角膜炎や角膜上皮びらんの報告があるが、本症例のような両眼の角膜上皮下に多発するmicrocystを認めた症例は稀である。本薬剤の投与中に眼痛、開瞼困難、視力障害、羞明などの症状を認めた場合には、副作用による眼障害を疑い、眼科専門医に相談することが重要である。

著者(発表者)
水戸毅ほか
所属施設名
金沢医大
表題(演題)
シタラビンにより角膜上皮下に多発するmicrocystを生じた1例
雑誌名(学会名)
第75回 日本臨床眼科学会164 (2021)
第75回 日本臨床眼科学会(2021.10.28-12.22)

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