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インダパミドによる低ナトリウム血症

2022年3月掲載

薬剤 インダパミド循環器官用剤
副作用 低ナトリウム血症
概要 68歳、男性。高血圧症のため2ヵ月前から降圧薬3剤を内服していたが、コントロール不良のため、X-14日からインダパミド2mg1日1回の追加内服が開始された。X-1日に多量の飲酒をした。X日、悪心、悪寒、倦怠感を訴えるため前医を受診し、著明な低ナトリウム血症を認めたため同日入院した。入院後痙攣発作を認めたためX+1日に当院へ転院した。前医入院時より内服薬は全て中止しており中止を継続した。血液検査と尿検査から当初は抗利尿ホルモン分泌異常症と判断して水制限を行った。血清ナトリウムは上昇し意識レベルの改善はみられたが、CK値は著明に上昇し、黒褐色のミオグロビンを認めた。低ナトリウム血症と痙攣に伴う横紋筋融解症ならびに急性腎障害と判断し、水制限から大量補液に切り替えナトリウムの補充を実施した。血清ナトリウム値やCK値は徐々に正常化していった。インダパミド内服開始14日目に低ナトリウム血症で発症したこと、画像的にも抗利尿ホルモン分泌異常症の原因を認めないため、最終的にインダパミドによる低ナトリウム血症と診断した。

監修者コメント

サイアザイド類似利尿薬であるインダパミドは、本態性高血圧の治療薬として使用されている。本症例は、コントロール不良の高血圧に対してインダパミドを投与したところ、重度の低ナトリウム血症から痙攣発作と横紋筋融解症を発症した1例である。本薬剤の添付文書にも、重大な副作用として、低ナトリウム血症が記載されており、特に高齢者や女性で頻度が高いことが報告されている。本症例は低ナトリウム血症発症前日の飲酒による水分負荷が、さらに低ナトリウム血症を悪化させた可能性があり、本薬剤内服中の患者では飲酒などの生活習慣にも注意する必要がある。

著者(発表者)
矢部正浩ほか
所属施設名
新潟市民病院総合診療内科ほか
表題(演題)
痙攣発作と横紋筋融解症を合併したインダパミドによる低ナトリウム血症の1例
雑誌名(学会名)
新潟市民病院医誌 42(1) 8-12 (2021.10)

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