せりみっく 今月の症例

ホーム > 新着文献  > ニボルマブによる抗Yo抗体陽性傍腫瘍性小脳変性症

ニボルマブによる抗Yo抗体陽性傍腫瘍性小脳変性症

2022年3月掲載

薬剤 ニボルマブ腫瘍用薬
副作用 抗Yo抗体陽性傍腫瘍性小脳変性症
概要 77歳、男性。他院で食道癌と診断された。First-line治療に抵抗性で、ニボルマブによる治療が開始された。3回目の点滴静注の翌日から歩行時のふらつきが出現し、約2週間の経過で歩行不能となった。神経学的所見として、眼振、構音・嚥下障害、四肢・体幹失調を認めた。脳脊髄液検査では、細胞数13/μL(単核球100%)であった。頭部MRIでは小脳の腫脹およびFLAIR高信号を認めた。123I-IMP SPECTでは、小脳の血流増加を認めた。血清抗Yo抗体が陽性であった。ステロイドパルス3クール、IVIg 2クールによる治療を行ったところ、SARAスコア(22.5→16.5)および検査所見の改善を認めた。

監修者コメント

本症例は、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)であるニボルマブの使用により、新たに傍腫瘍性小脳変性症を発症もしくは増悪した可能性が示唆された1例である。傍腫瘍性神経症候群は、悪性腫瘍に対する免疫応答が神経組織を障害することにより生じる神経疾患であり、傍腫瘍性小脳変性症はその一病型で小脳失調を呈する。ニボルマブなどのICIは様々な免疫関連有害事象(irAE)を生じるが、小脳性運動失調症を呈した症例も報告されている。今後ICIの適応拡大により同様の症例を認める可能性があり、ICIを使用する患者では小脳性運動失調症の出現に注意する必要がある。

著者(発表者)
加藤新英ほか
所属施設名
岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野
表題(演題)
ニボルマブ使用により抗Yo抗体陽性傍腫瘍性小脳変性症を呈した1例
雑誌名(学会名)
神経治療学 38(6) S273 (2021.10)
第39回 日本神経治療学会学術集会(2021.10.28-11.24)

新着文献 一覧

PAGETOP