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イキセキズマブによる間質性肺炎

2022年2月掲載

薬剤 イキセキズマブその他の代謝性医薬品
副作用 間質性肺炎
概要 55歳、男性。当科初診約1年半前から頭部に鱗屑を伴う紅斑が出現し、次第に体幹、四肢へと拡大したため近医皮膚科を受診した。尋常性乾癬と診断され、ステロイドなどの加療をされていたが増悪傾向のため生物学的製剤導入目的に当科に紹介された。X年7月よりイキセキズマブを開始し、投与5ヵ月後には改善傾向となった。しかしこのときの血液検査でKL-6、SP-Dが軽度上昇を認めたため、外来で注意深く経過観察を行った。投与開始約7ヵ月後に胸部CT検査を施行したところ、間質性肺炎の所見が確認された。呼吸器内科にコンサルトしたところ、日和見感染をきたすような全身状態でないこと、イキセキズマブ開始後に検査値が上昇していること、他に新規薬剤の開始がないことからイキセキズマブによる薬剤性間質性肺炎の可能性を考えるという見解であった。イキセキズマブを中止し、外用薬のみで加療を継続したところ検査値は低下傾向となった。乾癬の皮疹は悪化傾向となってきたため、リサンキズマブを開始した。投与中KL-6は減少し続け、体幹、上肢の紅斑も消失した。

監修者コメント

本症例は、抗IL-17製剤であるイキセキズマブ投与中に間質性肺炎を認めたが、抗IL-23製剤のリサンキズマブに変更することで、肺病変の再燃を認めずに皮疹のコントロールが可能となった乾癬の1例である。イキセキズマブの添付文書にも、重大な副作用として間質性肺炎が記載されている。本薬剤の投与中に咳嗽、呼吸困難、発熱などの症状が認められた場合には、胸部X線、胸部CT、血清マーカーなどの検査を行い、間質性肺炎が疑われた際には、速やかに投与を中止し、適切な処置を行うことが重要である。

著者(発表者)
松村奈津子ほか
所属施設名
福島県立医科大学皮膚科学講座
表題(演題)
乾癬および類縁疾患 7 イキセキズマブ投与中に間質性肺炎を発症し、リサンキズマブへのバイオスイッチが奏効した乾癬
雑誌名(学会名)
皮膚病診療 43(9) 830-833 (2021.9)

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