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BCGによる間質性肺炎

2021年12月掲載

薬剤 BCG生物学的製剤
副作用 間質性肺炎
概要 79歳、男性。20XX 年2月20日膀胱癌に対して7回目のBCG 膀胱内注入療法が行われた。同日夜より全身倦怠感・発熱が出現した。経過観察により解熱傾向であった。3月3日近医受診し胸部X線にて間質性肺炎を疑われ、3月4日当科紹介受診・入院となった。CT では両側上中葉舌区に小葉間隔壁の肥厚を伴うすりガラス陰影・小葉中心性の粒状陰影を認めた。各種抗酸菌培養検査は陰性、抗菌薬投与も効果不良であった。3 月13日気管支鏡検査施行。BALF ではマクロファージ75.6%・リンパ球23.2%・好酸球0%・好中球1.2%・CD4/ 8 8.5 であった。BCG DLSTでは強陽性であり、BCG 膀胱内注入による薬剤性間質性肺炎と考えられた。

監修者コメント

BCGはウシ型結核菌を弱毒化したもので、本来結核を予防する⽬的の生ワクチンであるが、BCGの懸濁液を膀胱内に注入すると免疫炎症反応が惹起され、表在性の膀胱癌の有効な治療となる。BCG 膀胱内注入療法による肺合併症の多くはBCG 感染によるものであるが、本症例のような薬剤性間質性肺炎も報告されており、慎重な経過観察が必要であろう。

著者(発表者)
大森隆ほか
所属施設名
近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科
表題(演題)
BCG膀胱内注入療法による薬剤性間質性肺炎と考えられた症例
雑誌名(学会名)
第127回 日本結核・非結核性抗酸菌症学会近畿支部学会 第97回 日本呼吸器学会近畿地方会 合同学会 プログラム・抄録集 71 (2021)
第127回 日本結核・非結核性抗酸菌症学会近畿支部学会 第97回 日本呼吸器学会近畿地方会(2021.7.10)

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