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メロペネムによる中毒性表皮壊死症

2021年12月掲載

薬剤 メロペネム抗生物質製剤
副作用 中毒性表皮壊死症
概要 78歳、女性。原疾患不明の末期腎不全のため、X-18年(63歳)から維持血液透析を開始した。X-4年に右膿腎症のため、当院でメロペネム(MEPM)0.5g/日による保存的加療を10日間行い、軽快していた。X年に右膿腎症が再発したため入院し、前回入院時と同様にMEPM 0.5g/日による保存的加療を開始した。入院後炎症所見の改善を認めたが、第11病日に搔痒感を伴う紅斑が両側眼囲に出現した。第13病日に紅斑が急速に体幹へと拡大したため、同日当院皮膚科に紹介した。血液検査で好酸球比率の上昇傾向を認めており、MEPMによる薬疹と診断された。
MEPMを中止し、エピナスチン塩酸塩、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム軟膏を開始した。しかし皮疹はさらに増悪し、第15病日にびらん、水疱が出現、中毒性表皮壊死症(TEN)と診断された。メチルプレドニゾロンによるステロイドパルスなどの処置を施行したが、全身にわたって表皮の壊死の拡大を認めた。第19病日に透析困難、びらん部を侵入門戸とした細菌感染に伴う敗血症性ショックとなりICUに入室した。第21病日に永眠された。

監修者コメント

カルバペネム系抗菌薬であるMEPMの投与によりTENを発症し、死亡した維持透析患者の1例である。TENは致死率が約30%の最重症薬疹の一つである。MEPMでTENを発症するのは稀ではあるが、重大な副作用の一つとして添付文書にも記載されている。TENの原因薬剤としては抗菌薬が多いが、日常診療で頻繁に用いられる抗菌薬でこのような致死的な副作用が出現する可能性があることに注意すべきである。特に透析患者がTENを発症した場合は予後不良であり、薬疹の改善に乏しい場合はTENをはじめとした重症薬疹を疑い、早期の集学的治療を考慮すべきであろう。

著者(発表者)
福田喬太郎ほか
所属施設名
徳島県立中央病院泌尿器科ほか
表題(演題)
MEPM投与による中毒性表皮壊死症(TEN)で死亡した維持透析患者の1例
雑誌名(学会名)
日本透析医学会雑誌 54(7) 361-367 (2021.7)

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