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カペシタビンによる白血球減少

2014年2月掲載

薬剤 カペシタビン腫瘍用薬
副作用 白血球減少
概要 70歳、男性。直腸癌の診断にて直腸低位前方切除、リンパ節D3郭清術を施行した。術後35日からcapecitabineによる術後補助化学療法を開始した。内服開始12日目に口腔粘膜炎、手足症候群、下痢にて当院受診。14日目に入院となった。入院後、白血球減少が急速に進行し、WBC300/μL、Plt3.2×104/μLまで低下した。その後、治療が奏効せず、内服開始後25日に死亡した。末梢血中単核球中のDPD測定、また尿中uracil、尿中dihydrouracilの測定を行ったところ、DPD欠損症の診断は確定できなかったが、臨床経過より部分欠損症を強く疑った。

監修者コメント

カペシタビン(ゼローダ®)は経口、単剤での投与が可能な5-FU系抗癌剤であり、消化器癌の化学療法においても使用頻度が増えてきている。5-FUの不活性化代謝の律速酵素であるDPDを欠損した患者に5-FUを投与した場合、重篤な副作用を生じることが報告されている。本症例はカペシタビン内服開始後早期より重篤な副作用を発症し、内服開始後25日目に死亡されたため、DPD欠損症の可能性が考えられた。DPD欠損症では重篤な有害事象が発現するまでの期間が1週間程度と比較的早いことを念頭に置き、本疾患が疑われる場合は、速やかに投与を中止し、支持療法を行うことが重要である。

著者(発表者)
戸嶋俊明ほか
所属施設名
鳥取市立病院外科
表題(演題)
Capecitabineによる大腸癌術後化学療法開始後早期に重篤な白血球減少を来し死亡した1例
雑誌名(学会名)
癌と化学療法 40(11) 1549-1552 (2013.11)

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