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ロキサデュスタットによる胃びまん性毛細血管拡張症

2021年11月掲載

薬剤 ロキサデュスタットその他の代謝性医薬品
副作用 胃びまん性毛細血管拡張症
概要 70歳代、男性。S状結腸癌の術前検査のため、上部消化管内視鏡検査(EGD)が行われたが、胃毛細血管拡張症は指摘されなかった。2ヵ月後、ロキサデュスタット内服が開始され、1ヵ月後、著明な貧血を来たし搬送入院された。入院時EGDを行ったところ、噴門部、穹窿部、胃体部を中心とした胃全体に著明なびまん性毛細血管拡張の出現を認めた。同剤内服を中止し、1ヵ月後、2ヵ月後に再検したところ毛細血管拡張は軽快し、輸血の頻度も減少し退院できた。

監修者コメント

ロキサデュスタットは、低酸素誘導因子であるHIF(低酸素誘導因子)の代謝酵素であるPH(プロリン水酸化酵素)を阻害し、造血を促す腎性貧血の経口治療薬である。一方で、HIF-PH阻害薬は、HIFを活性化してVEGFの発現を増強させ、血管新生を亢進することも報告されている。本症例は、ロキサデュスタットの投与により、著明な胃びまん性毛細血管拡張症を生じ、貧血を来たした稀な1例である。臨床経過や作用機序から考え、本薬剤によるVEGFの活性化を介した有害事象と考えられ、注意が必要である。

著者(発表者)
河原史歩ほか
所属施設名
山陰労災病院消化器内科ほか
表題(演題)
ロキサデュスタット投与により著明な胃びまん性毛細血管拡張症を生じ貧血を来たした末期腎不全の1症例
雑誌名(学会名)
第126回 日本消化器内視鏡学会中国支部例会 50 (2021)
第126回 日本消化器内視鏡学会中国支部例会(2021.7.11-8.5)

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