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ブリナツモマブによる移植後遅発性非感染性肺合併症

2021年11月掲載

薬剤 ブリナツモマブ腫瘍用薬
副作用 移植後遅発性非感染性肺合併症
概要 45歳、男性。Ph陰性B-ALLに対して非血縁者間骨髄移植を施行。移植後5ヵ月で血液学的再発を認め、再寛解導入療法とDLIでbridging後ブリナツモマブを導入した。治療開始後に発熱、低酸素血症、胸部CT検査上両肺野にスリガラス影を認め、移植後遅発性非感染性肺合併症(LONIPC)と判断した。ステロイドへの反応は良好であったが、その後も肺陰影の悪化を反復し、治療に難渋した。一方で原疾患は寛解を維持した。

監修者コメント

ブリナツモマブはB細胞系の細胞表面に発現するCD19とエフェクターT細胞の表面に発現するCD3に結合する二重特異性抗体であり、白血病細胞のCD19とT細胞のCD3を共に認識し、白血病細胞とT細胞に架橋構造を形成することにより白血病細胞を攻撃する。再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病に対する治療薬として使用されている。本症例では、同所移植後再発急性リンパ性白血病に対し、ブリナツモマブを投与したところ、肺GVHD(移植片対宿主病)の1症状であるLONIPC(移植後遅発性非感染性肺合併症)を発症した。稀な1例ではあるが、本薬剤の投与中は慎重な経過観察が必要である。

著者(発表者)
大野沙耶香ほか
所属施設名
千大・血液内科ほか
表題(演題)
同種移植後再発急性リンパ性白血病に対しBlinatumomab投与後、肺GVHDのコントロールに難渋した1例
雑誌名(学会名)
千葉医学 97(3) 69 (2021.6)
第1426回 千葉医学会例会 令和2年度 内分泌代謝・血液・老年内科学例会(2021.2.11)

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