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デュルバルマブによる血小板減少症

2021年10月掲載

薬剤 デュルバルマブ腫瘍用薬
副作用 血小板減少症
概要 46歳、男性。2019年4月、右肩甲骨痛が改善せず、内因性疾患を疑われ、総合内科を受診し、検査を進めていたところ、非小細胞肺がんと診断された。根治切除不能と判断し、化学放射線同時併用療法を行う方針とした。シスプラチンとTS-1による化学療法と胸部放射線治療を施行し、腫瘍は縮小した。治療終了2週間後からデュルバルマブを開始したところ、投与10日後に胸部違和感が出現し、受診した。血小板減少と両下肢の紫斑を認め血小板輸血を施行したが、改善は乏しかった。新規に開始したデュルバルマブ投与10日後に症状が出現しており、免疫学的機序による薬剤性血小板減少症の報告も散見されることから、デュルバルマブによる血小板減少症と考えた。高容量デキサメタゾンや免疫グロブリン大量静注療法などの治療により血小板数は上昇し、それに伴い胸部違和感も改善した。しかし、治療終了2週間後に胸部違和感が再度出現したため、プレドニゾロン(PSL)を開始した。血小板数は徐々に改善し、PSLを漸減、終了した。その後は血小板数の低下はみられなかった。

監修者コメント

ヒト型抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体であるデュルバルマブは、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)として、肺がんの治療に用いられている。ICIの副作用として、多彩な免疫関連有害事象(irAE)を発症することが知られている。本文献では、デュルバルマブ開始後に薬剤性血小板減少症を発症した1例を報告している。irAEとしては、間質性肺炎や大腸炎などが代表的であるが、薬剤性血小板減少症は比較的少なく、特にデュルバルマブによるものは稀である。ICIの使用頻度は今後も増加することが予想される。薬剤性血小板減少症は、頻度は少ないものの、重篤化する可能性があるため、注意が必要である。

著者(発表者)
平松佑斗ほか
所属施設名
名古屋第二赤十字病院呼吸器内科
表題(演題)
durvalumab開始後に薬剤性血小板減少症をきたした非小細胞肺がんの1例
雑誌名(学会名)
内科 127(6) 1347-1350 (2021.6)

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