ファビピラビルによる薬剤熱
2021年9月掲載
薬剤 | ファビピラビル化学療法剤 |
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副作用 | 薬剤熱 |
概要 | 64歳、女性。当院受診の6日前より発熱、全身倦怠感、食欲不振を認めていた。SARS-CoV-2 PCR検査陽性であり、COVID-19加療目的に入院となった。入院時両肺野にすりガラス陰影を認め酸素化も不良であり、本人の同意のもと当院倫理委員会で承認されたファビピラビル(FPV)を開始した。FPV開始後より解熱を認め、酸素化も良好となり自覚症状も改善傾向となっていたが、入院11日目に再度発熱を認めた。鼻咽頭拭い液のウイルス量低下を認めていたことからFPVによる薬剤熱を疑い、同日中止とした。 FPV中止後は血中FPV濃度の低下に伴って速やかに解熱し、薬剤リンパ球刺激試験(DLST)にてFPV陽性であったため、総合的にFPVによる薬剤熱と判断した。 |
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FPV(アビガン®)は抗インフルエンザウイルス剤であるが、ウイルスのRNAポリメラーゼを選択的に阻害することでウイルスの増殖を防ぐことから、新型コロナウイルスに対しても効果が期待されている。副作用としては、催奇形性、高尿酸血症や肝機能障害などが報告されているが、本症例のような薬剤熱は稀である。特にウイルス感染による発熱との鑑別が重要であるが、副作用としての薬剤熱に注意すべきである。
- 著者(発表者)
- 村井佑至ほか
- 所属施設名
- 富山大学附属病院感染症科ほか
- 表題(演題)
- ファビピラビルによる薬剤熱と診断したCOVID-19の1例
- 雑誌名(学会名)
- 第243回 日本内科学会北陸地方会 15 (2021)
第243回 日本内科学会北陸地方会(2021.3.7)
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